一戸建て見学時の留意点
建物部分で確認すること
【構造・性能】
まず一戸建てとマンションの大きな違いを知っておきましょう。一戸建ての構造は木造が多いのに対し、マンションはほとんどが鉄筋コンクリート(RC)造、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造です。そのため断熱性や耐震性など、住宅性能の部分では一戸建てはどうしてもマンションに劣ります。ですから、一戸建てをチェックするときには、必ず住宅性能面について確認します。
例えば耐震性は、「耐震等級」で確認することができます。耐震等級は1~3まであり、数字が大きいほど、耐震性があるということを示しています。
また、外気温の影響をどれだけ受けずに、住宅内が快適に過ごせるかということを表す「断熱等性能等級」という基準も確認しておきましょう。等級は1~4まであり、数字が大きいほど、断熱効果の高いつくりとなっています。
この他、省エネルギー基準をクリアした住宅ならば、冷暖房をはじめとする家庭の消費エネルギーを大幅に抑えることができます。省エネルギー基準をクリアすることは簡単ではなく、建築費用も高額になるので物件数は多くありませんが、どの住宅でも壁の構造や窓など開口部の設備仕様は、光熱消費量を左右しますし、快適さにもつながります。忘れずに確認するといいでしょう。
【生活動線】
大多数のマンションは全ての居室・設備がフラットな1フロアにつくられていますが、2階建て、3階建てが主流の一戸建ては住戸内での人の動き、いわゆる「生活動線」が複雑になりがちです。
朝起きて食事を摂り、顔を洗い、歯を磨き、身支度を整える。この流れがスムーズにこなせるのか。さまざまな家事の場面と道具の置き場、関連する場所との行き来は無駄なく円滑か。家族はどこで団らんをして、子供の部屋はどこに置くのか。コミュニケーションの取り方や音の問題なども含めて確認しましょう。具体的な利用シーンを時間帯で思い浮かべていくと、現実に即した生活動線がシミュレーションできそうです。
【開口部】
一方、一戸建てがマンションより優れている点としては、四方にドアや窓といった開口部が設けられるということが挙げられます。窓の数は、採光や通気の確保に直(じか)につながる重要なポイントですが、位置や大きさによってはプライバシーが確保できなくなるという欠点もあります。ですから、道路面では視線の位置や塀、垣根の有無、高さを確認します。また、隣接する建物の窓位置も確認しましょう。
意外と気にせずにいて後で困るのが、置きたい家具と窓位置の関係です。テレビやソファ、ベッドなど、配置にこだわりが出そうな大きな家具は希望位置で窓が邪魔しないかを確認しましょう。
周辺環境や地域ルールもチェック
一戸建ての見学時には、周辺環境もチェックします。まずは最も近い建物周辺から見ていきます。ゴミ置き場の確認はとても重要です。場所が自宅からどれくらい離れているのか、どのような状態かを必ず確認しましょう。
必ず確認しておきたいポイントとしては、ゴミ収集曜日、場所、種別、時間帯、出し方のルール、粗大ごみの回収手段などです。できれば、ゴミ収集日に回収場所での近所の人々のゴミ出しマナーの状況を見るといいですね。ルールを守る意識が高く、清潔な感じが見られたら安心できます。
その他、駅やバス停へのルートと距離、昼夜とも安全に歩けるのかも確認しておきたいポイントです。人通りの状況、歩道の幅、交通量とガードレールの有無などの安全性、街灯の配置など、具体的なチェック項目を挙げておきましょう。
においや騒音についても。住んだ後で後悔しないためには、必要な確認事項です。家は改修や工夫で住みやすくできる部分もありますが、立地は変えることができないので、入念な確認を心掛けましょう。
見学時に用意するもの
一戸建て住宅を見学する際には、物件資料を持参し、住宅の細部まで確認したいものです。まず間取りや設備などが記載されているパンフレットやチラシを持参し、記載内容と相違がないかを一つひとつ確認して、わからないことは現場の担当者に聞きましょう。
いくつかの道具も必須です。まず、コンパス(方位磁針)を持参します。家の方角がどちら向きなのか。開口部の位置と大きさをチェックし、朝、昼、夕方に日差しがどこから入るのか、物干し場には日が当たるのかを確認します。
さらに水平器があれば、家に傾きがないかを確認できます。特に中古住宅を見る時には、傾いていないかはよく確認しましょう。耐震性や安全面に影響します。
メジャーも必ず持って行きましょう。それぞれの部屋の寸法を測るだけではなく、ドアや階段部分の幅をチェックします。家具や家電の搬入時に「入らない」という失敗は、思いの外多いものです。その失敗を未然に防ぎます。
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